
南無阿弥陀仏
宮崎県日南市に建立されている正行寺において寺僧を務めさせていただいております、野崎宏彦(こうげん)と申します。平成三十一年に佛教大学を卒業し、それ以降、住職の父と副住職の兄の下で支えられながら、仏道の道を歩ませていただいております。お二方とも仏法の知識に優れ、檀信徒様からの信頼も厚く、私も一刻も早くあの姿に近づきたいと尊敬する毎日でございます。
先日、不断光院様にて福岡教区一心寺からいらした永江憲昭上人を講師とし、「得度式」について学ばせて頂く機会を得ました。得度式とは、新たに仏法を学ばんとして出家する者を迎える儀式であり、新たに出家する者、新発意(しんぼっち)にとっては、仏の教えに従い、仏弟子となり歩む決意を固める日でもあります。そしてその講習会の実践法式では、私が比較的若年だったこともあり、新発意を務めさせていただきました。


諸先輩の方々に支えられ、得度式を改めてその身で学んでいる最中に、私は初めて得度式を受けた日を追懐しておりました。
私が得度式を受けたのは丁度十年前、大学入学を控えた十八歳の時でした。得度式を執り行ってくださった住職である父とそれを優しく見守ってくださった母、そして、私の為に寺院まで上がってきてくださった檀信徒様の方々の暖かい視線は、今でも強く記憶に残っております。
私もいつか、私の子孫や、新たに仏の道を歩もうとする方へ得度式を執り行う時がくるやもしれません。そして、私のようにふとした時に得度式の記憶を思い浮かべる時がくることもあるでしょう。そのような時に、その方が少しでもその日の事を誇りと思えるような迎え方でありたいと、そう強く願っております。
改めて法式研修会の場を提供してくださった不断光院様、そして福岡教区から遥々お越しいただいた永江憲昭上人にこの場を借りて感謝の意を申し上げると同時に、この研修会を糧として、より一層仏道の研鑽に努めることをここに誓います。
合掌
三州教区 宮崎組 正行寺 寺僧 野崎宏彦
