教化団だより「さんしゅう」第3号より
聖號十称
宮崎県日南市の正行寺副住職、野﨑亮彦(りょうげん)と申します。平成二十二年に三州教区浄土宗青年会に入会させていただき、平成三十年から令和六年に至るまで事務局長を七年間務めさせていただいております。
三州教区浄土宗青年会では「令和六年能登半島地震災害義援金街頭托鉢募金」を令和六年一月十八日に宮崎市内にて行いました。宮崎駅前交差点・宮崎市山形屋前交差点の二ヶ所にて、被災地に思いを馳せながらお念仏をお称え致しました。

ご協力いただいた方の中には、募金箱の前を一度は通り過ぎたものの引き返して来られた方や、自転車を停めてまで歩み寄って下さる方など、本当に多くの方が温かいお気持ちをお寄せ下さいました。助け合いの尊い心を間近で感じ、お念仏をお称えする声にも、より一層力が入っていきました。今回の托鉢募金54,735円は、浄土宗より日本赤十字社を通じて、被災された方々に全額お届け致しました。この度の地震により犠牲となられた方々に哀悼の意を表し、ご遺族に謹んでお悔やみ申し上げると共に、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
私たちの暮らす三州教区(宮崎・鹿児島・沖縄)は、いずれ起きるとされている南海トラフ巨大地震の被害を受ける地域にあたります。正行寺は港を望む高台に位置する為、地域の皆さまに「津波がきたら正行寺さんに行けばいいね」と頼りにしていただいています。地域社会と共に生きるお寺として、これから災害に強いお寺づくりに取り組み、避難された方が数日は過ごせるように備蓄をし、地域社会に貢献して参ります。
災害をはじめ様々な不幸は、いつ誰に起こるか分かりません。幸せがずっと続けばよいのですが、人生というものは私たちの思うようにはいかないものです。今年、開宗八百五十年を迎えた浄土宗が掲げるキャッチフレーズに「お念佛からはじまる幸せ」とあります。この幸せとは、一時的な欲求が満たされる事ではありません。お念仏をお称えして、阿弥陀さまによって極楽浄土へと導かれる事こそが、決して変わることのない真の幸せです。法然上人によってお示しいただいた尊いお念仏のみ教えを心の支えとすればこそ、日々の小さな幸せに気づき、人生を生ききる事ができるのだと思います。私自身もお念仏によって救われていく一人として、これからも念仏弘通に努めて参ります。
合掌
三州教区 宮崎組 正行寺 副住職 野﨑亮彦
